祝1周年とブログタイトルの由来

2008年09月17日 01:59

本日といいますか正確には昨日をもって拙ブログ開設1年となりました。
今日から2年目に突入です。

9/16 11:00現在でのべ25,657人の方にご来訪いただきました。
誠に誠にありがとうございます。

エントリー数は324件。0.88件/日ということで、今年に入ってからほぼ1日1件のペースになっています。
まだまだ書きたいことはあるのですが、なんらかの時事的きっかけに合わせて書いていければと思っています。
これから書くこともなかなかきっかけがなく今まで書けませんでした。

拙ブログは「璧を完うす(へきをまっとうす)」というわかりにくいタイトルなのですが、一切説明もなくここまで来てしまいました。
せっかくの節目ですので、まあ気にしてない人がほとんどだとは思いますが、由来を書きたいと思います。



古代中国、7国が争う戦国時代末期(紀元前3世紀頃)、のちに統一を成し遂げる超大国“秦”のとなりに“趙”という国がありました。
日々“秦”の圧力に悩まされる“趙”の恵文王には、何物にも代えがたい宝物がありました。
それは「和氏の璧」という名玉です。

その話を聞きつけた“秦”の昭襄王はこの璧が欲しくなり、秦の15城と交換しよう趙の恵文王に持ちかけます。
何しろ国力を背景にした申し出ですから、無下に断ることもできず、かといって璧を渡したとしても城を譲ってくれるとは限りません。
この難しい交渉の使者を買って出たのが藺相如でした。
藺相如は恵文王に「城が手に入れば璧を置いてきますが、手に入らないようなら璧を完うして戻りましょう」といって秦に向かったのです。

秦の昭襄王は藺相如を引見し、「和氏の璧」を手に取ると上機嫌で周囲のものにも見せびらかし、趙の正使たる藺相如に対する礼節を欠いていました。
この様子を見て取った藺相如は昭襄王に約束を守る意思がないことを確信しました。
藺相如は「和氏の璧」に傷があるからそれを教えると謀って璧を取り返すと様相を一変させ、怒髪天を突かんばかりの勢いで昭襄王に言いました。
「王からこの話が申し出られた時、趙では秦が約を違えるのでは?という声が専らだった。しかしは大国たる秦の王がそのようなことをするわけがない、と言って私は趙を出てきたのだ。しかるに今までの王の私に対する対応は傲慢無礼に終始し、璧を戯れ遊んでいる。その態度から私は王が約束を守る気がないと判断し、璧を取り返したのだ。もし王が力ずくで璧を取り返そうとするなら璧もろとも柱に頭を打ちつけ砕いて見せよう」。
昭襄王は態度を改め、15城の地図を示しましたが、藺相如は「日を改め、5日後、賓客の礼をもって遇するべきだ」と突っぱねました。
やむなく昭襄王は藺相如の言うとおり、5日後再度藺相如を迎えることを約束しました。

5日の間に藺相如は部下に璧を持たせ、調べてあった間道を使って趙に戻してしまいました。
5日後昭襄王が再び藺相如を礼をもって引見し璧を求めると、藺相如は璧を趙に戻したことを告白しました。
そして、「趙は小国、秦は大国、ひとたび王が使者を発すれば、趙が拒むことがありましょうか。まず大国たる秦の王が約束の15城を趙にお与えになるべきでしょう。ただ私が王を欺いたことは万死に値します。なにとぞ煮殺していただきたい」と言いました。
秦の群臣はすぐさま藺相如を引っ立てようとしましたが、昭襄王は制止していいました。
「いまとなってこの者を殺したとてなんになろう。むしろ厚遇して帰してやったほうが秦と趙のためにもよいであろう」と。
昭襄王は改めて藺相如をもてなし、趙へ帰国させました。

藺相如が帰国すると、恵文王は彼が賢者だから辱められもせず無事に帰ってこられたのだと、彼を上大夫にしました。
こうして、秦も城を趙に与えず、趙もまた、ついに璧を秦に与えずにすんだのです。


これが「璧を完うす」=完璧の語源となった故事で、まさにパーフェクトな使者です。
この話が大のお気に入りなのでタイトルにした次第です。

藺相如は死を恐れてはいないが、生を捨てているわけでもない。
生というものに引きずられない、ぶれなき覚悟とでも言おうか。見事である。
そして十分に目算があって事を運んでいる。
智と勇、そして覚悟、3つを備えてはじめて人は大事を成すことができるのだと思います。

葉隠にある「武士道とは死ぬことと見つけたり」の解釈はいろいろあるようですが、私は死に対処する心構えという意味で、藺相如の行いと通ずるところがあり、かつての日本人はこの精神を持っていたのだと思っています。
この「璧」を完うしていければと考えています。

長くなりましたがこれからもよろしくお願いします。

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コメント

  1. j.seagull | URL | S5n/0nKI

    大変遅くなりましたが、一周年おめでとうございます!
    毎日1件のペースで書くのは大変なことだと思います。
    私などは最近忙しかったせいもあるのですが、一ヶ月自分のblogを放置しておりました(笑)
    是非これからも頑張って続けて下さい♪

    「璧を完うす」の意味、初めて知りました。中国の故事などにはとんと疎いもので・・・(汗)。

  2. グリッティ | URL | l7H4TccY

    j.seagullさん
    コメントありがとうございます。

    >一周年おめでとうございます!

    誠にありがとうございます。

    >毎日1件のペースで書くのは大変なことだと思います。

    クオリティを維持するのができないんですよね・・・

    >是非これからも頑張って続けて下さい♪

    エントリーにも書きましたが、まだまだ書きたいことは残っているのでしばらくは続くでしょう(笑)だぶん。私自身終りが想像できませんから(笑)

    中国に限らず故事シリーズはこれから結構出てくると思います。楽しめるものにしたいと思っています。

  3. 青二才 | URL | -

    Re: 祝1周年とブログタイトルの由来

    大雑把には知っていた故事でしたが、改めて読むと素晴らしいですね。

    是非とも「柳腰」の管総理と仙谷官房長官に言い聞かせたい内容です。

  4. グリッティ | URL | l7H4TccY

    青二才様

    コメントありがとうございます。

    智と勇、覚悟のいずれも持ち合わせていないのが、民主党政権ですね。

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