璧を完うす
日本人の良き精神、大和魂という璧(宝物)を損なうことなく次の世代へ完うしたい!そんな願いを込めたブログです。
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オランダ史に見える日本の未来
日本人のイメージでは、チューリップと風車の国「オランダ」。
これだけではのどかな国に感じられるが、オランダは17世紀、世界の覇権を握っていたことはあまり知られていない。
世界の貿易と海運、金融を支配し、繁栄をほしいままにしていた。
現在の金融システムの原型はこの当時のアムステルダムで完成したのだ。

そして17世紀末、繁栄を誇ったオランダは存亡の危機に立たされる。

この繁栄と衰退の歴史は、背筋が凍るほど日本のそれと共通点が多く、日本の未来をも暗示しているかのようである。
我々は歴史から学ばなければならない。亡国の憂き目を見る前に。

15世紀、当時超大国だったスペインの統治下にあったオランダがなぜ興隆したのか?
それは以下の点と考えられている。

1.国民性
・世界最強国を相手に長期にわたる独立戦争を戦い抜いた故の、“不屈”、“勇敢”
・干拓し手入れをしなければ、泥土に変ってしまう難しい国土を切り開くいてきたための、“質素倹約”、“忍耐”そして“進取の気質”

2.技術の高さ
・干拓、灌漑を進める中で培われる技術の進歩(風車も灌漑のために発達した。)
・農業、畜産だけでは食べていけないため、漁業、海運が発達。そのなかで造船技術、操船技術が世界随一の水準まで発展。

3.宗教の自由
・マルティンルターよりも早く宗教改革が行なわれ、ヨーロッパでもっとも早く宗教の自由があった。

これらを持ち合わせていたために、開かれた政治、通商を確立し、地政学的利点もあいまって、世界に冠たる貿易・商業・金融の超大国となった。
世界の富、物産が集まり、周辺国が戦争で疲弊する中、爛熟した消費社会を生み出していた。

後に法律で規制されるほどの華美な結婚式。
バブルのため球根1個が家1軒に相当するほど高騰したチューリップ。
活きた魚しか食べず、またさばやぼらは食用に適さないと捨てていた。

どこかの国と似通っていると思いませんか?
その国民性も特徴も。

そしてその繁栄なるがゆえに、没落していく…
その理由は

1.政治力・外交力の欠如
オランダの政治は、独立の立役者だったオレンジ公ウィリアムに発するウィリアム家を、各州政治家が掣肘することに力を注ぐ形となっていく。
また連邦制をとっているため、各州の抗争もあり、各国との外交でも、自国の利益より自州、自身の利益を優先する傾向が顕著だった。
これらの利害を調整する中央政府の機能が弱く、政治・外交とも統一性・一貫性がなかった。

2.軍事の否定
ウィリアム家が独立戦争を勝利に導いたこともあり、オランダの軍事的象徴となっていたことから、ウィリアム家を押さえ込みたい州政治家は軍事そのものを否定的にとらえ、軍事を軽視した。
結果平和外交に固執し、それが破綻したときには軍事的備えはなかった。

3.国家の軽視・同盟国の軽視
オランダはスペインとの独立戦争を戦う上で、同じ新教国のイギリスと同盟を結び、同様に血を流して戦ったが、独立しスペインの脅威も遠のくと、経済活動に力を注いだ。
経済至上主義に陥ったオランダ商人は、自国や同盟国の敵であるスペインとも盛んに通商を行い、イギリスやもうひとつの同盟国フランスの顰蹙を買った。

4.嫉妬
オランダ独立のため血を流したイギリスは、オランダ独立後の経済的繁栄を見るにつけ、いいようのない感情に襲われた。
「われわれが血を流して独立を勝ち取ったオランダが、われわれを経済的に追い詰めている。」
「なぜわれわれがオランダの後塵をはいさなければならないのか。」
イギリスが経済的に劣ったのはイギリス自身の問題であるわけだが、感情的にはそうではなかった。

そしてオランダの外交的視野の狭さも手伝って、かつて手を取り合って戦った両国は戦争に突入する。

日本が今まさに行なっていることは、このままではないですか?
ならばその後の展開も同じなのかもしれない。

3度目の英蘭戦争のとき、フランスも参戦し、陸と海から攻められたオランダは国家存亡の危機に陥る。
かつてあれだけの繁栄を誇ったオランダ経済も度重なる戦争で疲弊し、ここに至ってようやく国民も気づいた。だれが自分たちをここまで追い込んだか!
長年オランダの政治を事実上主導してきた州政治家デ・ウィット兄弟を引きずり出し、切り刻み、惨殺した。
そして独立の立役者オレンジ公ウィリアムの曾孫ウィリアム三世を担ぎ出し、国家元首とした。
ウィリアム三世は父祖に劣らず非常に資質に恵まれていた。
ただちにスペイン、オーストリアと同盟し、フランスを逆包囲して撤退させた。
しかし、イギリス軍の大艦隊を防ぐ手立てがない…
まさにそのとき暴風が吹いてイギリス軍は撤退した。オランダにも神風が吹いたのである。

その後、イギリスで名誉革命が起こり、なんとウィリアム三世は血筋の関係でイギリス国王となった。
そのため戦争は終結した。まさに天の僥倖である。

再びオランダとイギリスは同盟国として歩み、今日まで続いている。
しかし、オランダの栄光はもう帰ってこない・・・

天の配剤ががなければオランダという国はなくなっていてもおかしくなかった。
天は人智ではどうすることもできないもので期待するものではない。
日本は日本人の知恵と行動で未来を切り開いていかなければならないのだ!

経済的利益のみを追求し、国家をないがしろにし、軍事を敵視し、国際的役割を忌避し、同盟国を尊重しない。
こんなことを繰り返していては国は滅ぶ。
決して忘れてはならない!日本の今の平和は日本の努力で維持されているわけではないことを。


参考文献
「繁栄と衰退と」岡崎久彦著 文芸春秋
「オランダ史」モーリス・ブロール著 白水社

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