TPPのついて(2)

2011年11月03日 17:50

なんか反TPPの嵐が吹き荒れているんですけど…
賛成派の声はかき消されそうですな。

最初に断っておきますが、私はTPP態度保留派です。
よくわからない点が多すぎるので。
ただ、関税及び非関税障壁はなくすべきだと思います。

ネットで出回っている反TPPの説で不思議なものを挙げてみました。



1.TPPはアメリカの陰謀である。

さすが宇宙人も隠しているくらいのアメリカ(笑)陰謀はお手のものです。

TPPはもともと、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4ヶ国で始まったもので、その後にアメリカやオーストラリアなどが参加を表明している段階。
今はアメリカも乗ってきているけど、当初はそれほど関心がなかったんですよ。
今だってアメリカのメディアにTPPなんて全然取り上げられてない。

それに日本は誰に誘われたわけでもない、自分で参加したいと言ったのです。
むしろアメリカの通商部的には「日本が入るとややこしくなるな、『米は…』とか『バターは…』とかいいそうだし…」と思ってる。
アメリカが日本を入れたいとしたら、むしろ安全保障面でしょ。

それとアメリカ議会が、通商交渉の権限を持っていて、オバマがいくらTPP進めても、議会の承認がなければ日本もTPPに参加できないってニュースも出ていたけど、そして議会は日本の参加に難色を示しているとか…

これでもアメリカの陰謀ですか?

だいたい反米左翼さんがこういうことをいうのは日頃の行いからわかるけど、普段は日米安保重視とか言っちゃっている保守層も同じ事言ってるんだから驚き。
それなら日米安保だって陰謀かもしれんじゃん。
なんで日米安保は綺麗な同盟で、TPPは悪魔の条約なの?

2.農業が壊滅する。

まあ壊滅はせんよ。減るかもしれんけど。
それより不思議なのは農家の人が反対を主張するのはまだわかるけど、そうでもない人が農家農家って騒ぐのはなんなの?
あんたたちは、いつも国産の農産物や畜産物を食っているのかね?
吉野家やすき家の牛丼は食べないのね?外国の果物は買わないのね?
日頃安価な外国の農産物や畜産物の恩恵を受けている消費者が、こんな時ばかり生産者保護を叫ぶのは滑稽。
安い外国産が入ってきても日本産を買い続ければいいこと。
そうすれば壊滅しないよ。

実際問題そうできないのは、それが経済の論理ってもんだから。
安いものを求める消費者は安いものを買う。それでいいんです。
それとは別の満足を求める人もいる。
味とか見栄えとかね。
そういう特徴のある農産物はきっと残っていく。

だいたい農業の話になると、関税がなくなって日本が大変って話になるけど、向こうの関税だってなくなるんだよ。
知ってた?(笑)
高級品として外国にも関税なしで売れるんだよ。

それと食料自給率ってなに?
なんでそんなこと大騒ぎしてんの?意味がわからん。
農水省が自己の権益を守るために作った、日本だけで流布している言葉、食料自給率。
減反している国が、自給率が低いと騒ぐのは本末転倒というしかない。

大体、日本の企業が海外に土地を買って、そこで農産物を生産して日本に輸出したらその分は自給率に貢献するのか?
それとも生産国の自給率(その国はそんなこと気にもしないだろうけど)を上げるのか?

食料を輸入できないような国際情勢になったら、石油だって天然ガスだって入ってこないし、電気もガスも水道も止まるんだよ。
外国との交流がなかった大昔の方が、日本でも飢饉とか起こってたくさん死んでるじゃん。
むしろ食糧危機が心配ならより貿易促進しないと。

3.日本の輸出は大して増えない。経済効果はない。

まず大前提として、
輸出は“得”
輸入は“損”
という風に思っている人が多すぎ。

貿易黒字を出すことがいいなんて、いつの重商主義政策だよ。
輸出はモノを売って金を得る、輸入は金でモノを得る、このときモノと金は等価だから、どちらも損得はない。
輸出は外貨を得るためで、その外貨でものを輸入する。ただそれだけのこと。
輸出入なんて等量であればいいし、だいたい等量になるようになっている。

貿易の眼目は、各国が得手とするモノを作りとそれを動かし合うことであり、それによって経済的なメリットが出る。
モノもお金も貯め込んでいたってなにも産み出しはしない。
活発にモノとお金を動かす自由貿易は、関わる全ての国にメリットをもたらす。

自由貿易で日本の輸入が増えて貿易赤字になるなら、それだけ日本の国民はメリット得ている。
赤字になるくらい良いものを輸入しているのだから。
どんどん輸入を増やせばいい。

TPP結んでも日本の輸出は大して増えないし、経済効果も眼を見張るものはないでしょう。
それでも日本に外国の良いものがたくさん入ってくることで生活水準は向上するし、これは逆に日本のものが外国に行ってその国の生活水準を向上もさせる。
かつてお見舞いに遣われていた高級品のバナナが、今1房100円で買えるのはなぜですか?
たとえ所得は上がらなくても、生活水準は向上するのです。

4.安い外国産が入ってくるとただでさえデフレなのに、それが加速する。

デフレはモノが安くなることではありません。

消費が弱いので、モノを安くしないと売れない
 ↓
利益を削ってでも安売りをする
 ↓
企業の利益が減ることで、社員の収入が減る
 ↓
収入が減ったので消費が弱くなる

以降ループ

こういう状態をデフレーションといいます。
問題はモノの値段が下がることではなく、企業の利益が減り、社員の収入が減ることです。

もともと安い外国産の商品は、利益を削る必要はありません。
そんなことをしなくても十分な利益を得て販売することができるからです。
それでモノが売れればむしろ社員の給料は上がります。
そうなれば消費も活発になりますので、好景気になります。

無論、モノが安くなったから無限に消費が伸びるわけではありませんので、限度というものはありますが。

ですので、安い外国産が入ってきて、物価が下がっても、それはデフレではありません。


まだまだありますが、長くなるので今回はこれぐらいで。
問題あったらご指摘願います。


まーたお叱りのコメント集まるんだろうな…

人気ブログランキングへ
人気ブログランキングへ なにか得るものがあった!と思われた方はクリックを!
FC2 Blog Rankingへ
関連記事
スポンサーサイト





コメント

  1. y16a | URL | QMnOeBKU

    Re: TPPのついて(2)

    こんにちは。はい、お叱りのコメントです :-)

    1~3についてはどうでもいいです。

    デフレとはモノの値段が下がることではない、というのはその通りです。家電製品なんかの値段が下がっているからデフレだ、とかなんとか大威張りで本を書いている半可通がいて、これがベストセラーだったりするみたいですが、量産・普及品の価格が下がることとCPIの継続的下落の区別もつかない戯言は放っておくとして、デフレ下では「投資が減る」ということ、その重大性も是非解説していただけませんかね。

    あ、それと、非関税障壁の撤廃にも賛成されるということなので、具体的にISDなどは露骨な内政干渉・主権侵害にあたると思うのですが、この辺についてのご意見もいただければ有難いと思います。カナダやメキシコ、豪州などは謂わば難癖つけられた挙句莫大な賠償金取られたりしてますけど、どう思います?

  2. けんぶつ | URL | N.CarXIg

    Re: TPPのついて(2)

    まともなご意見を拝見しました。いちいちごもっともです。

    池田信夫が古層=天皇制をなくさないと・・・いう言い方を始めたので

    ちょっとグローバリズム系は危険かなと思っていますが、私は移民反対なので

    経済的に等価である輸入でまかなうしかないかなと考えていましたが

    ここにきて雲行きが怪しいので・・・思いあぐねています。いいものを読ませて

    いただきました。

  3. はぁ | URL | -

    Re: TPPのついて(2)

    TTPの交渉に参加することを今月中旬に決めることが拙速だということで反対意見が多いのではないですか。
     賛成の人たちの
    「平成の開国」「経産省対農水省」「乗り遅れるな」・・・等々、
    不思議なものだらけですよ。
     確かにアメリカの陰謀ではありません。菅さんが突然言い出したことです。
     農業に対してはTTPとは別に現状の問題点をにらみしっかり考えなくてはいけないと思います。
    米の価格から考えた減反はやめるべきですが農業だけでは生活ができないから全体の7割が兼業農家でしかも高齢の人が多いのです。
     農家の方の努力で安全で美味しい農産物があるのですよ。
    化学肥料と農薬で効率よく作られた外来農産物におされてしまうだけとは思いませんが
    このままTTPでは農家の方の生計が苦しくなり耕作放棄して転業というのもありえます。
     企業化し担い手を増やし今の品質で効率よく生産が出来て、力をつけて勝算ができてからの話ですね。
     机上の空論で「予算をつけてそうする予定。」だけではダメでしょう。
     それから食料自給率は下げてはいけないと思いますよ。
     
     デフレはその対策をまともにやる努力もしないで
    増税を海外で公約する政権ですから、このままではTTPに関係なく加速してしまいます。
    (しかも税収が少ないから段階的に上げていく算段らしい。)


     既得権益はウザいし規制緩和は必要です。が、
    極論、このTTPのルール作りは90日ルールで日本はできません。(これも内緒にしてましたが。)
    今、参加を表明しても3ヵ月間は何も言えません。
    アメリカは日本が参入することで保険や金融など自国に有利なようにルールを決めていくでしょう。
     口出しが出来ないでルールを決められ途中離脱が難しいのに参加を推進しますか。
    決められたルールを熟考し参加を決める方がいいでしょ。
     野田政権は持っている情報を出しません。回りがうるさく言うと仕方なく小出しにして認めるくらいですよ。



  4. グリッティ | URL | l7H4TccY

    皆様コメントありがとうございます。

    y16a様
    こんにちは、待ってました(笑)

    >デフレ下では「投資が減る」ということ

    これは一般的にデフレで投資が減るという話?それともデフレの時にTPPに参加すると余計に投資が減るという話?
    デフレ下で投資が減ってしまうのはのは普通かと思いますが。

    ISDとかになると話が専門的になりすぎて、拙ブログでは誰にでもわかる話を心掛けてますので、あまり突っ込みたくないんですが。
    まあ私の知識不足もありますが(笑)
    私の理解している範囲ではISDは、日本がすでに結んでいるEPAでも条項が含まれているはずですがね。
    むしろ発展途上国との自由貿易協定にはISD条項を含めている方が、日本にとってはメリットが有ると思います。
    法律や裁判制度が整備されていない国が多いですから。
    カナダやメキシコ、豪州との裁判は確定的なソースをいまだ見た事無いので、具体的にどういう内容だったのかわからないのですが(このへんが態度保留の理由です)他の件でもそうですけど、なんでやられることばかり心配するんですかね?
    そのあたりがいつも不思議です。


    けんぶつ様

    恐れ入ります。
    私も大量の移民には反対です。

  5. グリッティ | URL | l7H4TccY

    はぁ様

    コメントありがとうございます。

    たしかに拙速なんですが、TPPのタイムテーブルはすでに決まっていて、日本が議論して来なかっただけでしょう。
    まあ東日本大震災もありましたのでね。
    見送るなら見送ってもいいですけど、次にTPPが拡大する時には、「このルールですけど入りますか」って話になるってことですよ。

    民主党のマニフェストのなかで唯一耳を傾ける価値があると思ったのは「農家の戸別補償制度」です。
    これと農産物の自由化はセットだと思っていましたが、どうもそのつもりはなかったみたいですね。
    私も日本の田園風景は守りたいと思いますので、天候に左右されやすい農業に対しては保護から補償へかじを切るべきだと思いますが。

    増税は確かにやってはいけませんね。
    TPPよりそっちを騒いだほうがいいです。
    まじで大不況になりますよ。

    TPPは今後さらに拡大して、アジア太平洋を包括するような協定になると思いますよ。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://andreagritti.blog112.fc2.com/tb.php/1334-8b4a497c
この記事へのトラックバック


最近の記事