尖閣問題で語られない論点

2010年11月14日 13:13

尖閣ビデオの問題については、保安官の身柄、流失した経緯についての話に話題が集中している感がある。
それは確かに重要で、大切なことではあるのだが、あまりに集中しているがために、他の論点がおざなりになってる気がする。

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1つは尖閣周辺での中国漁船の実態と日本の操業について。

ビデオの事件と、もともとの尖閣衝突事件は、関連があるとはいえ、混同する類のものではない。
問題のおおもとは尖閣諸島周辺の状況がどういうことになっていたのかということだ。
そこはあまり語られない。

では実際に現状の尖閣周辺の状態はどうなっているのか、これについては地元の漁師さんの話を聞くのが一番だ。
八重山毎日新聞で少し前(10/10付)だが、漁師さんたちのこんな声が載っている。

 「国家主権と国益を守るために行動する議員連盟」との意見交換会にはマグロ延縄漁や一本釣りを営む漁業者が出席し、積極的に現場の声を発した。

 中国の海洋調査船にはえ縄を切断され、今年6月23日に日本の排他的経済水域(EEZ)内で台湾の巡視船から退去命令を受けた具志堅用治さんは「(EEZ内に)堂々と入ってきている。どうしたらよいか。これまでずっと泣き寝入りだった。今度こそこの海域を守ってほしい」と切実。

 金城一雄さんは「尖閣周辺には中国の漁業取締船がきているが、私たちが逆に拿捕(だほ)されて中国に連れていかれる可能性もある」と不安顔、比嘉幸秀さんも「尖閣諸島周辺では最近、台湾漁船が多くなっている。水産庁の取締船は最低でも3隻いないとまずい」と危機感を募らせ、仲田吉一さんが「いろんなことがあって一言ではしゃべれない。とにかく安心安全に操業できるようにしてほしい。何とか助けてほしい」と声をあげた。

 上地肇さんは「良い漁場だが、避難する場所がない。避難場所があれば小さな漁船もいける。良い漁場を守るためにも助けて」と訴えた。議員から具体的な避難施設を問われ、比嘉さんは「港はどうせできないだろうから、当面は10隻から15隻程度係留できる浮桟橋で良い」と答えた。

 八重山漁協の上原亀一組合長は「尖閣周辺海域では外国漁船と再三トラブルが発生し、毎年取り締まりの強化を訴えてきたが、今回の事件でようやく国民に知ってもらえた。こうした実情を改善してほしい」と要望した。

以上引用終わり

現場の緊迫感が伝わってくる。
日頃から中国や台湾の漁船に浸食されて来ていた実態があったということだ。
今回の件は決してレアケースではない。
しかも、船長を解放したことで一層浸食が激しくなることも予想される。

これに対して今後どういう手を打っていくのか。
現在進行形のこの件に対して、政府が対応したという話は聞かない。
ただちに対処すべきだ。


2つめは保安官の処分について。

現在警察で国家公務員法違反で取り調べを受けている保安官だが、法的にどういう結果になるかは予断を許さないところだ。
これは政府が常に持ち出す隠れ蓑の“いわゆる検察の判断”ということになるが、では、法には触れていなくても海上保安庁の内規として、保安官を処罰する気はあるのか?

政府としてはこの保安官の行動に問題ありとしているのだから、法的に有罪無罪のどちらであっても、服務規程などで処罰しなければ筋は通らない。
しかし、すぐにでもそうできるにも拘らず、そういう話は聞かない。

ここでも検察に押しつけて、検察の方で有罪になるように有形無形の圧力をかけ(実際これだけ政府関係者の発言が流布されれば事実上圧力がかかっていると思う)、政府として処罰の判断をしなくていいようにしているとしているのではないか、という疑念を持つ。

政府としての見解と処罰を伺いたいものだ。


最後に3つめとして、中国人船長の捜査について

保安官には「法に基づいて、厳正に」などと言っているのに、中国人船長は処分保留で釈放という、無様な矛盾をさらけ出している政府ですが、釈放したからといって、捜査を打ち切る必然性はない。
中国に帰してしまったから、再び拘留は不可能に近いけれども、それでも「法に基づいて、厳正に」捜査を進めればいいじゃないか。

ジャーナリストが船長を告発したが、そんなことをされる前に自ら捜査を継続すればよかった。
関連記事 ジャーナリストらの中国漁船船長告発、那覇地検が受理 産経新聞

中国人船長の罪はなんなのか、捜査の上はっきりさせて公開し、起訴すればいい。
そして中国と外交交渉を行うシーンがあれば、船長の身柄引き渡しを要求すればいい。
なぜそうしないのか?

こういうことを「法に基づいて、厳正に」というのだ、
日本が法治国家としてもう一度信用を取り戻すためには、これが第一歩だろう。
ここをうやむやにして、保安官だけ裁こうなんて虫がよすぎる。


まあ、今の政府には何一つまともに処理はできなそうだけど、この話は、政権交代してからまだ1年とかそういう言い訳は効かないよ。
政権与党だと突発的ないろんな問題も起こるんだ。
もううんざりしてきただろうw
さっさと政権返上したらどうなんだい。
自民党にお灸をすえるつもりだった国民も、自分たちがお灸をすえられてると、ようやく気づき始めたみたいだしさw

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コメント

  1. 慶次郎 | URL | kU3g/2a6

    Re: 尖閣問題で語られない論点

    検察の判断と言いながら、隊員を「犯罪人」と決めつける方が可笑しいのでしょうね。
    検察に任せば良いのに「嘴」を挟み自国民を痛め付け、外国人犯罪者を野放し、怖い政府です。何をして良いのか判らない状態に陥っている様な気がします。

  2. かぐやひめ | URL | qcX4.Kko

    Re: 尖閣問題で語られない論点

    民主党政権は、もともと方角の違う連中のよせ集まりで、長く持たないことはあきらかでした。

    問題は、この短期間に、どれぐらいの被害がでるか
    それと、必ず「保守系・愛国系」の政権が渇望されるでしょうが・・・自民党が、そのままであっても、だめだと言うことです。売国議員が多すぎます。

    「自民党でさえあればいい」と、ゆすり返されることが、右の行き過ぎで、次回は白人への売国っていうのも、ありえる。
    世界は腹黒く、カラスはいつも上空からえさを狙っているものです。

  3. グリッティ | URL | l7H4TccY

    皆様コメントありがとうございます

    慶次郎様
    判断もせず、責任も負わなくていい立場しか経験したことがないから、判断や責任を誰かに預けることしかできないのでしょうね。
    もうあきらめてさっさと気楽な野党になればいいのに。

    かぐやひめ様
    自民党のほうが“まし”ではありますけど、安心出来るほどではありませんから。
    創価と連立とか酷いもんでしたし。

    カラスというか、ハゲタカのような…

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