2011年07月07日 19:25
もともとは、原発の再稼動がないと経済への打撃が深刻だと動いた海江田経産相のこの会見からだった。
原発事故:定検で停止中の原発、政府が再稼働促す 毎日新聞
海江田万里経済産業相は18日、東京電力福島第1原発事故のような設計基準を上回るシビアアクシデント(過酷事故)対策について、各原発への立ち入り検査などを実施した結果、「水素爆発などへの措置は適切に実施されている」と評価した結果を公表した。海江田経産相は「これにより、運転停止中の原発についても再稼働は可能」との見解を示した。しかし、原発立地の自治体では慎重姿勢が強く、定期検査などで停止している原発の再稼働までには時間がかかる見通しだ。海江田経産相は結果の説明と再稼働要請のため、来週末にも立地自治体を訪問する方針を明らかにした。
この会見の通り、海江田経産相はまず初めに、玄海原発のある佐賀県を訪れ、再稼動の突破口にしようとした。
海江田経産相は佐賀県の古川知事は、6月29日会談し、古川知事は再稼動に一定の理解を示した。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110630ddm002040068000c.html 毎日新聞佐賀県の古川康知事は29日、「安全性の確認についてはクリアできた」と、玄海原発2、3号機の再稼働を容認する意向を示した。
これは賛否こそあれ、非常に勇気ある判断だった。
その判断は、この言葉があったればこそだ。
運転再開を容認する意向を固めた佐賀県の古川知事にとって、海江田経産相から「国の責任で動かす」との言質を引き出したことが大義名分となっている。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110630ddm002040068000c.html 毎日新聞「玄海2、3号機の安全性について『国が保証する』との発言をいただいた」。海江田経産相との会談後、古川知事は記者団に対してこう語った。
http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011070101000759.html 共同通信佐賀県の古川康知事は1日、県議会の原子力安全対策等特別委員会で、福島第1原発事故の影響で運転停止したままの九州電力玄海原発(同県玄海町)2、3号機について「首相の来県が原発の再稼働を判断する際の重要な要素。一定の答えをうかがった上で判断したい」と述べた。再生可能エネルギーの拡大に意欲的な菅直人首相と会談し、今後の原子力政策などについて説明を受けた後、再開容認を最終判断する意向とみられる。
知事としては原発の安全と再稼動の責任を国で負って欲しいというのが再稼動容認の条件だった。
これは当然のことだ。
以前に原発は国有化すべきと書いたこともあったが、事故があれば甚大な被害が発生する機関を、民間や地方公共団体に任せることには無理がある。
→ 原発再稼働は無理 2011年06月18日 15:48
これを受けて、海江田経産相は、菅に知事との会談を要請した。
→ 「菅首相は佐賀訪問すべき」海江田経産相進言へ 読売新聞
ところが菅はこれに難色を示し、突如全原発に対してストレステストを実施すると言い出した。
→ 原発耐性テスト:首相「再稼働の前提」 玄海は判断先送り 毎日新聞
はしごを外されたのは、海江田経産相と古川知事である。
海江田経産相は辞意を口にし、知事は不信感を募らせている。
→ 経産相“時期来たら責任取る” NHKニュース
→ 佐賀県知事、ストレステストめぐり政府批判 日テレnews24
原発反対派はこれを歓迎しているのかもしれないが、菅は原発の安全性に疑問を持っているわけでも、原発反対派でもない。
ストレステストと言っているが、全原発の震災後の緊急安全対策に対する検査はすべて終了し、すべての原発が新基準をクリアしているのである。
再度ストレステストをやる意味はない。
意味があるというなら、なぜ最初からそれをやらなかったのか?という話だ。
また、菅は原発の再稼動についてはなんども容認の姿勢を示していた。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201106/2011062800014 時事通信菅直人首相は27日夜の記者会見で、定期検査で停止中の原子力発電所に関し、「安全が確認されたものは稼働させていく」との考えを重ねて示した。
つまり、今回持ち出したストレステストなるものは、原発再稼動の責任を負うように迫られた菅が、それから逃げるために持ち出した口実でしかない。
地方自治体の長が、批判を覚悟して容認の姿勢を示したのに、一国の長は、責任を逃れるため問題を先送りにした。
浜岡原発を唐突に止めて不安感をむやみに押し広げ、今回のことで不信感を全国にまき散らしたわけだ。
経産相と考えが違うなら、いくらでも話をすり合わせる機会はあったはずだ。
経産相の原発再稼動要請の会見の時にでも、佐賀県に向かうときでも。
それをやらずして、いざ、決断を迫られたら話のすり替えをし、これまで積み上げてきた人の努力や決断を無にしても保身をする。
守るものなどない立場に追い詰められながら、今だにその身を守ることだけに汲々とし、その為には手段を選ばない。
誰がこんな男についていくのか。
全ての閣僚は海江田経産相と一緒に辞表を出すべきだ。
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