アメリカのスポーツ誌「スポーツイラストレイテッド」に、なでしこジャパンを賞賛する感動的なコラムが載っていたのでご紹介したい。My Sportsman: Japanese Women's World Cup Soccer Team Sports Illustrated By Matt Dollinger
私が選ぶ今年のスポーツマンオブザイヤー:日本女子ワールドカップサッカーチーム
スポーツ・イラストレイテッドは、12月6日にスポーツマンオブザイヤーを発表します。
SI(スポーツイラストレイテッド)記者によるノミネートを、1つをご紹介します。
悲劇に襲われた時、スポーツは、しばしばその重要さを失います。
現実の荒々しい様相と対比された時、私達がスポーツに傾ける情熱は、意味のないものに感じさせます。
しかしスポーツは時として、欠かせない気晴らしを提供する事ができるのです。
9.11テロの後、NYヤンキースとメッツは、悲劇に打ちひしがれた人々を元気づけました。
ハリケーンカトリ―ナの直後、ニューオーリンズセインツはスーパーボウルへの快進撃によって、ニューオリンズ市民の復興への気持ちを1つにまとめあげました。
マグニチュード9.0という、地を裂くような、歴史上最も大きな地震に見舞われた日本で、この夏、日本の女子サッカーワールドカップチームは、3.11の災害によって打ちのめされた人々を勇気づけました。
だから私は、今年のスポーツ・イラストレイテッド、スポーツウーマンオブザイヤーとして、このチームをノミネートします。
内陸6マイルまでを押し流した津波に巻き込まれ、25,000もの人々が死亡、あるいは行方不明となって、帰らぬ人となり、放射性物質の飛散による潜在的脅威のため、高まる緊張をほとんど沈静化出来ず、4ヶ月間、破壊のためによろめき続けた日本。
ワールドカップチームの奇跡的な業績は、悲劇以外の理由で、日本に光を当てたのでした。
ワールドカップに参加するとき、日本は感傷的な気分に支配されていました。
そこに至るまでの5つのトーナメントでたった3勝しかしておらず、ワールドカップはおろか、アジアのタイトルも獲得していなかったのです。
しかし、“なでしこ”(美しい花を意味するチームの愛称)は、グループリーグでニュージーランドとメキシコを破り、トーナメントに進出しました。
そして、1回戦でホスト国のドイツと対戦することになったのです。
それはサッカーが、日本にとって付随的なものから、もっとも重要なものに変化した瞬間でした。
ドイツ戦での108分の膠着状態の後、サブの丸山桂里奈は、2度優勝した経験のある前回優勝国を1-0で破る驚きの勝利を成し遂げるゴールを決めました。
勧善懲悪の実例かのように、決勝点は、丸山によって得点されました。
彼女は、大地震で破壊された福島第一原子力発電所で、オペレータを務めていたのです。
彼女のゴールによって、日本はタイトルへの夢を見続けることができ、また母国に大きな希望と幸福をもたらしました。
この番狂わせだけでも、傷ついた国から来た女性たちの、おとぎ話のような結末として申し分ないものでした。
しかし、物語はここで終わりではなかったのです。
衰えることを知らないほどエネルギッシュなスウェーデンに、3対1で勝利した日本は、史上初のワールドカップ決勝にたどりつきました。
しかし、彼女達が決勝で相まみえるチームは、目覚しい成績でトーナメントを勝ち上がってきていました。
アメリカはその能力を発揮しており、しかもトーナメント1ヶ月前の2-0を含む過去25回の対戦で、日本に一度も負けていなかったのです。
決勝は日本時間の早朝4時頃に始まりました。
にもかかわらず、日本中のファンが、その試合を見るために、リビングに、バーに群がりました。
長い4ヶ月の間、市民は、たとえ一瞬だとしても震災以外の話題にできるなにか、気晴らしになるものを得ようと必死でした。
アメリカは2度、リードを奪いました。
しかし日本の信念はずっと変わることはありませんでした。“決してあきらめない”
キャプテン、澤穂希は、彼女のチームの決意と根性が、決して諦めなかったがゆえに生き残ることができた津波の被害にあった人々を勇気づけることを望んでいました。
アメリカのスター選手、アビー・ワンバックは、104分に祖国にとっての2点目を、ヘディングで奪いました。
しかし、澤はその数分後にコーナーキックをそらして同点ゴールを決め、PK戦に持ち込みました。
ゴールキーパー海堀あゆみの見事な2つのセーブによって、DF熊谷紗希がPKのために、12ヤード離れたところにボールを置いた時には、日本は2対1でリードしていました。
彼女は、この一瞬を消化するために間を取り、肩をまわして、ライトを見つめました。
熊谷は6つのステップを踏み、アメリカのゴールキーパー、ホープ・ソロの左上コーナーに落ち着いてボールを蹴り込みました。
熊谷のチームメイトは、信じられない勝利を祝うため、涙と幸福感の溢れたフィールドを疾走しました。その時、日本の市民も通りへ繰り出していました。その通りは、ほんの数ヶ月前、壊れかけたビルやせり上がる洪水から、人々が避難しようとした通りと同じでした。
その勝利がどれほど重大であったかは、ソーシャルメディアサービス「ツイッター」で、気の遠くなるような7,196ものツイートがその1秒間になされたことでもわかります。
ええ、確かにこれはただのスポーツの話です。
しかし、“なでしこ”は、ほんの一瞬でも、国家を悲嘆から引き上げる助けをしました。
他のだれもこの賞にふさわしくありません。
以上引用終わり
私の拙い訳でコラムを台無しにしているかもしれませんが、意味はとって頂けると思います。
このエピソードは、決勝の相手がアメリカであったこと、それが様々な意味で大切でした。
アメリカ代表チームの騎士道精神に溢れた戦いぶりが、“なでしこ”の奮闘も生んだと思います。
改めて、アメリカ代表チームと“なでしこ”にお礼を言いたいと思わせる素晴らしいコラムでした。
本当にありがとう、そして、“決して諦めない”、と言うことを我々は忘れてはいけない。人気ブログランキングへ
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