菅総理が浜岡原発に停止要請を出し、中部電力もそれを受け入れるようだ。
正直言ってこれは“思いつき”以上でも以下でもないように思う。まず、国として今後のエネルギー政策をどうするのか?という大前提が示されていない。
原発を維持するのか、しないのか、中長期的に転換しつつ徐々に原発をなくすのか、何も決まっていない。
ドイツはすでに方針が決定したというのに。
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ドイツ、原発早期全廃へ 福島事故で首相方針 東京新聞
方針が決まらなければ、具体策も出てくるはずはない。
緊急の措置だという声もあろう。
それもわからないではない。
では、これは緊急対応としては適切だろうか?否である。日本中数ある原発の中で、なぜ浜岡だけが停止しなければならないのか?
その基準はいかなるもので、浜岡はどこが悪くて、他はなぜいいのか、その論拠はやはり示されていない。
経済産業省のHPには、今回に決定に関する声明が出ているが、これを読むと
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緊急安全対策の実施状況の確認と浜岡原子力発電所についてすべての原発は今回の福島原発の事故を受けて策定された緊急安全対策への対応が出来ている、とある。
なのに浜岡だけが停止要請されるのは、
文部科学省の地震調査研究推進本部の評価によれば、30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性が87%と極めて切迫している。
この1点のみである。そんなことはフクシマの前から分かりきっていたことなのに。ある意味何も状況は変わってはいない。
東日本大震災とそれによる津波で認識を改めたというのなら、そういう新たな基準で選定すればいいだけで、その新たな基準=緊急安全対策 に浜岡も引っかかってはいない。
地震が起きる可能性が基準というなら、浜岡には原発を置くことはできないはずだ。
しかし、そういう見解でもない。
想定される東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施することが必要です。
国民の安全と安心を守るためには、こうした中長期対策が完成するまでの間、現在定期検査中で停止中の3号機のみならず、運転中のものも含めて、全ての原子炉の運転を停止すべきだと私は判断をいたしました。
菅首相の会見全文 朝日新聞
あくまでも対策として、防潮堤などの設置がされるまでの停止だ。
防潮堤の設置には2~3年かかると言われている。
中部電力が中長期対策に2年から3年程度かかる見通しを示している
保安院 津波対策完了まで停止 NHKニュース
つまりせいぜい3年間の停止措置なのだ。
3年であろうと停止していたほうが良い、という考えもあるだろう。
それも一理ある、が、
3年間の安全を確保するなら、原発を停止するだけでは足りないのだ。福島第一原発の4号炉・5号炉は停止した状態だった。
ただ、使用済の燃料棒を冷却水の中に保管していただけだ。
にも関わらず、4号炉も爆発し、危険な状態に陥っている。
浜岡も停止しても燃料棒は動かさない(動かせない)だろう。
燃料棒は冷却され危険のない状態になるまで、数年から数十年かかると言われている。
つまり防潮堤ができるまでの3年間、浜岡原発を動かしていても停止していてもリスクはさほど変わるわけではないということだ。では何のために菅総理は要請したのか?あくまで“要請”である。受ける受けないは中部電力が判断することになる。
いわば“下駄を預けた”かたちだ。
“要請”というものには責任が発生せず、「オレは言った」という事実だけが残る。
菅総理は、この“要請”をすることになんのリスクもない。リスクはなく場合によっては世間から喝采される可能性もあるとしたら…
私には自民党谷垣総裁への入閣要請の話と同じ図式のような気がするが、いかがだろうか?とまれ、浜岡原発の安全はなにも担保されてはいない。
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