「はやぶさ」と「隼」

2010年06月13日 14:36

今日、小惑星探査機「はやぶさ」が使命を果たし終え、星となって燃え尽きる。
小惑星「イトカワ」の砂は採取できているか微妙だが、多くの人々の思いと技術の集積、経験を後世にはっきりと残して逝く。
それはちょうど、65年前の「隼」のように。

「はやぶさ」、この名は地上の獲物を急降下急上昇でつかみ取る猛禽“隼”のイメージからきている。

20140722hayabusa.jpg


小惑星「イトカワ」から砂を“隼”のようにつかみ取ろうとというわけだ。
しかし、「はやぶさ」と「イトカワ」が揃った時、やはり私が連想するのは、帝国陸軍一式戦闘機「隼」であり、故糸川英夫氏である。

大東亜戦争開戦当初、加藤建夫少将率いる加藤隼戦闘隊(飛行第64戦隊)に代表される戦闘機「隼」の華々しい戦果は、その卓越した設計思想が産み出した賜物でもあった。


20140722隼

その設計開発に携わったのが、当時中島飛行機に勤務していた糸川英夫氏である。

けれどその栄光も長くは続かなかった。
日本の戦闘機を分析し、ぞくぞくと生産されたアメリカの新型機の前に、「隼」は苦戦を強いられるようになっていく。
敵方の情報量が少ないなかで開発された日本の新型機は、技術的な面でも後手後手に回り真価を発揮できないまま、物資不足で生産すらままならなくなっていく。

「隼」に残された最後の使命、それが特攻だった。

65年前、「隼」は多くの未来ある若者を乗せて空をかけ、散って行った。
彼らの護国、愛する家族を守りたいという思いを後世に伝えながら。

自らが産み出した戦闘機が若者の命を奪う現実に糸川氏も苦しんだ。
その苦しみ、悲しみを次へ繋ぐべく、敗戦で航空機開発が禁止された中で、糸川氏はその技術と熱意を宇宙開発へ注いでいく。

わずか23センチのペンシルロケットから始まった日本の宇宙開発は、糸川氏の常人離れしたバイタリティで進んでいった。
資金難、実験場探し、爆発までありとあらゆる困難を排し、1970年2月11日、ソ連、アメリカ、フランスに次いで世界4番目に純国産で人工衛星を打ち上げた。
敗戦から25年、糸川氏と宇宙開発の一つの到達点であった。

20140722人工衛星

その後もさらなる目標に向かって精力的に働く糸川氏に対し、朝日新聞がネガティブキャンペーンを張る。
社説から天声人語までをつかった執拗なものだった。
痛くもない腹をさぐられた糸川氏は嫌気がさして、宇宙開発を後任に託し、職を離れることとなってしまう。

それでも、糸川氏が日本の宇宙開発史に多大な功績を残したことは揺るぎないものだった。
糸川氏の名は、小惑星探査計画に伴い、宇宙科学研究所(JAXAの前身)の依頼で小惑星に冠されることとなった。
小惑星「イトカワ」探査計画、そこに向かう探査機の名が「はやぶさ」。
糸川と隼はイトカワとはやぶさになってもう一度、日本の技術と魂を世界に示すことになった。

「はやぶさ」苦難の探査行、何度も「もうだめか」というところが這い上がり、小惑星「イトカワ」にタッチダウンした。
まるで意思があるもののように。
「イトカワ」に会い、戻ってきた「はやぶさ」には、「隼」とそれを駆って国難に当たった操縦士の魂が宿っているのかもしれぬ、そんな想いも抱かせるものだった。

20140722特攻

今日、「はやぶさ」の流れ星に涙する人は、65年前の「隼」とあの夏も、思い起こしてほしい。
あの時の想いは今日まで続いている。
あの時があったからこそ、今の平和があるのだと。

20140722はやぶさ

参考文献
やんちゃな独創―糸川英夫伝 (B&Tブックス)
的川 泰宣
日刊工業新聞社
売り上げランキング: 378,921



関連記事
「はやぶさ」帰還へ

人気ブログランキング参加中!人気ブログランキングへ
FC2ブログランキング参加中!FC2ブログランキングバナー



[「はやぶさ」と「隼」]の続きを読む
スポンサーサイト



「はやぶさ」帰還へ

2010年03月27日 19:12

以下YAH00ニュース(読売)より引用

小惑星探査機「はやぶさ」地球への軌道に乗る
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100327-00000563-yom-sci
3月27日15時52分配信 読売新聞

 小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰るために行っていた軌道変換が、27日午後3時過ぎに完了した。

 宇宙航空研究開発機構が発表した。故障続きのエンジンを動かし続けるという最大の山場を越え、地球帰還へと大きく近づいた。今後は、基本的にエンジンを動かさない慣性飛行で地球へ向かい、6月に大気圏内へ突入する予定。

 はやぶさは、2003年5月に地球を出発。05年11月に小惑星「イトカワ」に着陸した後、燃料漏れや通信途絶、エンジン故障など様々なトラブルに見舞われた。不調のエンジン2台を組み合わせて1台分の推進力を得るなど、曲技のような手段を駆使して、地球への帰路を進んでいた。

 今後は、正確な軌道に乗せるための微調整を行い、徐々に地球へと近づく。宇宙機構は、内蔵のカプセルをオーストラリアのウーメラ砂漠に落下させる計画。豪政府の許可が下りれば、大気圏突入の約10日前にエンジンを短時間噴射させて、突入角度を最終調整する。

 カプセルには小惑星「イトカワ」の砂やちりが入っている可能性があり、太陽系の成り立ちなどの謎を解く手がかりになるとして期待されている。

以上引用終わり

いや~良く戻ってきた。

燃料漏れや通信途絶、エンジン故障など様々なトラブルに見舞われた。不調のエンジン2台を組み合わせて1台分の推進力を得るなど、曲技のような手段を駆使して、地球への帰路を進んでいた。

様々なトラブルとそれに対応した日本エンジニアの卓越した手腕は有名な ↓ 動画でよくわかりますのでどうぞ。

※コメントがうるさいようでしたら、右下の吹き出しをクリックすると表示されなくなります。

「はやぶさ」のミッションはここまで数々の世界初の試みを行い、偉業を達成している。

・世界初のイオンエンジン搭載機のスウィングバイ(星の引力を利用した加速、方向転換)。
・電気推進ロケットとして太陽から史上最も離れた地点に到達。
・世界初の小惑星への軟着陸に成功。
・月以外の天体において、世界で初めて着陸したものが再び離陸をなしとげた。

これらを主に自動制御(イトカワは3億km離れているため通信していては30分かかってしまうため)で成し遂げたのだ。
まさに世界最先端を往く技術といっていい。

このパイオニア精神と偉業を称え、米国の National Space Society から Space Pioneer Award を授与された。
Space Pioneer Award
http://www.hayabusa.isas.jaxa.jp/j/index_46.html JAXA HPより

なのに取り上げてるの読売だけという…
低予算で頑張っているというのに…

こんな関心の低さじゃ仕分け人に予算削られるわけだよ。
特に小惑星イトカワへの着陸の時なんかは、日本中が固唾を飲んで見守ってもいい出来事なのにな。

せめて戻ってきたときには盛大に報道してくれよ。
がんばれ「はやぶさ」

人気ブログランキング参加中!人気ブログランキングバナー小

FC2ブログランキング参加中!FC2ブログランキングバナー





最近の記事